コーンウォールもここまで来ると遠くへ来たという実感がわいてくる。ティンタジェル(イングランドの人々はティンタージェルと伸ばす)からのぞむ海は大西洋なのだ。
西南西に長くのびるコーンウォール半島だけに、ティンタジェルへはフォイから真北に縦断するほうが近い。いずれにしてもティンタジェル城はセント・マイケルズ・マウント
どうようコーンウォール屈指の観光名所である。
 
ティンタジェルは13の村で構成され、本来の意味はトレヴェナ=ファーム・オン・ザ・ヒル。丘の上の農場とは言い得て妙で、
ティンタジェル岬の峻険な崖は孤独感をにじませるかのごとく周囲から孤立している。断崖の上には積石によって区分された
部屋がいくつかあり、僧院の井戸跡、祭壇跡、菜園跡といった標識が掲げられ、5世紀から約200年間ケルトの僧院があったという。
 
 
 
 
発掘調査によるとTintagel Castleは12世紀までなかったとされ、近年(1991)の調査発掘品から12〜13世紀には
教会と城がこの地に存在していたという。オリバー・パデル「コンウォール地名辞典」に、記録にはTynthagelの名があり、
古語Din Tagell はフォート・オブ・コンストリクション=凝縮した砦=というほどの意であるらしい。【井村君江「コーンウォール】
 
看板上のTintagel Castleは英語、下のCastel Dyntagellはコーンウォール語。
 
城のエントランス
城のエントランス
 
 
 
 
 
一気にのぼるにはきつすぎる急階段
 
城跡とケルト僧院跡
城跡とケルト僧院跡
 
手前はケルト最後の僧院跡、奥は城跡。それらは二つの断崖で隔てられていたが、長い歴史の変遷をへて現在は結ばれている。
崖の上に立つと、廃墟特有の壮大な叙事詩のような何かが心中を去来した。
 
城跡
城跡
 
アーサー王はここで生まれたと言い伝えられている。
 
 
僧院跡
僧院跡
 
 
 
ティンタジェル岬には洞窟が多く見られ、キャメロンの魔法使いマーリンの名のついた洞窟もある。
アーサー王伝説は数々あって、マユツバと思えるものから、もしかしたらと思えるものまで幅広い。
アーサー王とマーリンの活躍をえがいた英国ドラマはおもしろく、放送されるたびに録画してみてきた。
 
 
コーンウォールのゴールロワ公は12世紀ごろのケルト人の国ドゥムノニアの王といわれ、
ゴールロワはコーンウォール語で灰色の男、または緑の人という。
ゴールロワの美妃イグレーヌにイングランド王ウーサー・ペンドラゴンが横恋慕し戦を仕掛けた。
そこでウーサーはマーリンの魔法をかけてもらいイグレーヌの寝所に忍び込み、イグレーヌと
交歓して生まれたのがアーサーであるという(ジェフリー・オブ・モンマス「ブリテン列王史」1136年)。
 
歴史の縦軸と伝説の横軸とが重なったり離れたりして不明瞭な部分は多い。
定かであるのは魅力的な夫人がいたということであり、蠱惑的必ずしも美しさとはいえず、
男を惑わす蠱惑的な女性は時に男自身の未来を変える場合もあるということだ。
 
Tintagel Church
 Tintagel Church
 
 
 
Old Post Office
Old Post Office
 
ティンタジェルの旧郵便局。14世紀建造のマナー・ハウスの一部が残り、19世紀になって約50年間、手紙収集局として使われた。
が、その後の修復をへて現在はナショナルトラスト所有の郵便記念館。
Old Post Office
Old Post Office
 
 
Old Post Office
Old Post Office
 
 
Gardens  Old Post Office
Gardens  Old Post Office
 
 
 
コーニッシュ・クリーム Cornish Cream
コーニッシュ・クリーム Cornish Cream
 
ティンタージェルにかぎったことではなく、コーンウォールはイングランド最南端&最西端にあって夏は気温も上がるけれど、
空気が乾燥しているので体感気温は低く、ひんやりしている。。アイスクリームに手が伸びるのは旅行者の性癖かもしれない。
 
で、味はというと、これがうまい。コーンウォールのアイスクリームはクロテッド・クリームという牛乳を煮詰めてつくるクリームを使う。
クロテッド・クリームはスコーンにも使われるが、コーンウォールのアイスクリームと製法や純度を異にするのか美味ではない。
 
コーンウォールのアイスクリームは濃厚なのにさわやか。旅先でのわずかなふれあい、語らい、交流が旅に果実をもたらす。
 
アイスクリーム店
アイスクリーム店
 
 
ティンタジェル村
ティンタジェル村
 
春から初夏にかけてさまざまな花が一斉に咲き出す。北海道のように。
 
 
僧院跡と城跡
僧院跡と城跡
 
アーサー王伝説は英国人にとって別格である。ティンタジェル訪問者は国外からより国内からのほうが多いのは当然といえる。
 
 
こういう場所からひょいとアーサー王の部下が出てきそうな気がしないでもない。
 
ハイキング気分
ハイキング気分
 
画面上部の建物はキャメロット・カースル・ホテル。抜群のロケーション。ホテルはティンタジェル城の東北東方向に位置する。
 
 
Camelot Castle Hotel 玄関側
Camelot Castle Hotel 玄関側
 
アーサー王伝説の国キャメロットの名を冠したホテル。ダブル&ツイン45室、シングル10室。ホテル内レストランの名もキャメロット。
 
Camelot Castle Hotel
 Camelot Castle Hotel
 
キャメロット・カースル・ホテルが正式の呼称。以前はキング・アーサーズ・カースル・ホテルと名乗っていた。
キャメロットは円卓の騎士の城として知られている。
 
ティンタジェルからほど近い町ボッシーニーに小さな土塚があり、そこにはアーサー王の円卓が埋められていて、
夏至のころ円卓は土のなかからあらわれ、円卓の黄金色の光によって空が輝くのを待ち、円卓は土に戻るという。
 
 
 
 
Camelot Castle Hotel
Camelot Castle Hotel
 
ホテルの裏側。
ほかにこれといって泊まるに値する宿が見つからなければ、ロケーションの良し悪しで選ぶほかありません。
 
大西洋
大西洋
 
画像右端はキャメロット・カースル・ホテル。
 
大西洋をのぞむ気分は北海をのぞむのと違って、海の彼方に新大陸があるのかとダ・ガマ気分にひたらせてくれる。
 
ロビンフッズ・ベイで頬に当たる北海の風は夏でも冷たいけれど、大西洋を見はるかすティンタジェルの初夏の風は
ひんやりしてはいても心地よい。ロビンフッズ・ベイもティンタジェルも、いまなお風の声、波の音が耳に残って離れない。
 
石段
石段
 
ごつごつした石段のほとんどは急勾配。そのせいか、90メートルの高低差を一気に駆け上る人は少ない。
 
強風吹きすさぶ状況下の石段は危険がともなう。手すりにつかまっていないと、万が一吹き飛ばされれば
まっ逆さま、おだぶつ。家族同伴の場合、よそ見しているすきに風にさらわれて消えてしまったということも。
 
 
 
 
 
 
ティンタジェル・カースルと銘打ったカフェ。余分な装飾はなく簡素なのがいい。
 
 
 
危うい場所に座っている。立って撮影していると足を踏みはずすおそれがあるからだ。
 
 
 
 
ときおり吹く突風。岩壁に接近しすぎるとあぶない。
 
 
 
左上にちいさく見える女性ハイカー。
 
 
 
 
 
 
日本を含むアジアで紹介されるのが少ないせいかアジア方面からの団体客はほとんどいない。ここまで来るには個人旅行しかない。
マナーが悪くやかましいチャイニーズの束を目にしないことはまことに喜ばしい。
 
 
 
ティンタジェルまで来るとコーンウォールもここで終わりかという感慨にとらわれる。
イングランドに属するのに、ちっともイングランドらしさのないコーンウォール、特にティンタジェルはそうである。