サフォーク州南西部のラヴェナム(ラベナムと表記しても可)は人口1200ほどの小さな町。
ところがこの町、300軒以上の建物が文化財に指定されている。その多くは13〜15世紀ごろ建てられた民家で、
往時の居住者はかつて北海を隔て向き合うフランドル地方から来た毛織物職人。
 
15世紀にはすでに現在のラヴェナムの町並みがつくられ、指定建造物はそのままの形で現在に至る。壁は漆喰。
16世紀以降、毛織物業の衰退が加速し、テューダー朝の町並のほとんどが残っている例はめずらしい。
掲示板
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街並み
教会から見下ろすと、ふつうに民家の屋根が並び、注意してみないと家の実態がよくわからない。
 
スペルが「LAVENHAM」なのでラベンハムと記しているブログが多い。間違いです。ラヴェナム(またはラベナム)です。
 
 
街並み
家並
このくらいズームアップすると、なにか怪しい建物の存在に気づく。
梅田修著「地名で読むヨーロッパ」には、英国にはアングロ・サクソン語の「ham」を語尾にもつ地名が多く、
「ham」は村とか家屋敷という意味で、英語の「home」やドイツ語の「heim」と同じ語原。
アングロ・サクソン人が移住してできた集落が「ham」、と記されている。
 
家並
散策
散策
帽子の家
帽子の家
ラヴェナムの町並はテューダー様式がそっくりそのまま残されている。
 
ハリー・ポッターのコテージ
ハリー・ポッターのコテージ
ハリー・ポッターの家
映画「ハリー・ポッターと死の秘宝」に登場した14世紀の家。映画では中空にある架空の村という設定だった。
この家、せりに出されたとかで、競売価格は95万ポンドとも100万ポンドともいわれた。本当だろうか。
 
ハリー・ポッターの家
ぱっと目には普通の家にみえる。
 
このあたりも特に変わったところはない。
 
ちょっと怪しげな家が何軒か出てくる。
 
経年変化で木組みがいびつになっています。
 
梁が太いのでまっすぐのようにも見える。
 
このあたりに来るとギョッとする。
 
お出ましです。
 
たわんでいる。
 
もたれあい
夫は伴侶に寄りかかり倒れずにすむこともある。。
ラヴェナムは産業革命にお呼びがかからず置き去りにされた。皮肉なことにそれが後世の旅人に幸いした。
 
もたれあい
カメラのせいではなく、建物がゆがんでいる。
 
地震で傾いたわけではない。
 
ティールーム
ここは1532年建造。周囲の建物が古いので目立たない。
目立つのは写真。19世紀ビクトリア朝のあやしげなメイド。あやしいのは看板だけ、なかはふつうの喫茶。
 
ティールーム
インフォメーション
観光案内所の建物はさすがに新しい。多くの旅行者が来て何かを尋ねる場所で、話の最中に2階が崩れ落ちたりすると恐い。
しかし、隣の家が案内所に倒れかかるかもしれず、ここでは用件だけさっさと済ませて外に出るのがいいでしょう。
 
インフォメーション
これだけ斜にかまえていると、ほかの家がノーマルに見えない。内部の部屋はどうなっているのでしょう。
外観と同じように斜めになっていたら、調度品や家具は?
 
ラヴェナムのかたむいた民家を何十軒も見ていると、ふつうに行儀よく立っている民家がヘンに思えてくる。
 
スワンホテル ハイストリート
中村勝巳著「イギリス歴史紀行」に「スワンホテルは多分富裕な織元の家であったと推察される。」と記されている。
 
スワンホテル ハイストリート