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ベイクウェルからA6を4キロ弱西に行けばアシュフォード・イン・ザ・ウォータである。道しるべの立つ地点でA6を50メートル入れば
うっとりするような美しい民家や川がある。
アシュフォード・イン・ザ・ウォーターの魅力はそれだけではない、ここは幾つかのパブリック・フットパスの起点であり終点でもあるのだ。
フットパスに魅了されたハイカーが軽装で歩ける道が、この村から各方面へ、そしてまたそこから別の地点へ縦横無尽に走っている。
どの道をどう選ぶか、どう組み合わせてゆくか、それも愉しみのひとつである。
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アシュフォード村にある2軒のパブのうち1軒のブルズ。B&Bも兼ねている。
もう1軒のパブはアシュフォード・アームズというB&Bに。
そんなに少ないのかというと、そんなに少ない。そういうところがいいのです。
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村は小さく民家もパブも少ないけれど、すっきりして瀟洒。
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17世紀、石橋の近くでヒツジが集められ、川(ワイ川)の水で洗われたのち選別され、買われていったという。
シープウォッシュ・ブリッジの名の由来である。
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橋の左手は車道。まるで川幅の狭い鴨川と川端通である。ロケーションはまったく異なるけれども。
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シープウォッシュ・ブリッジを(画像右へ)渡り、片側二車線の道路を50メートル行けばA6に出る。先を急ぐドライバーは橋だけ見て目的地に行く。
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ところがすぐにこうなる。こういう変化もワイ川の魅力。
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さすがに小さな木橋が幾つか架かっており、このあたりがハイカーの名所であることがわかる。ここは同時に撮影スポットでもある。
橋の上から橋を撮ったり、川岸に降りて流れを撮ったりできて、見応え十分。
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1863年に敷設されたミッドランド鉄道の一部は1968年7月に廃線となり、全長485メートルのこのトンネルも閉鎖された。
しかし1981年以来、かつての線路、高架橋の一部が自転車、乗馬、歩行者のために開放され、それから30年たった2011年、
線路、高架橋の全線が開放され、トンネルも開放され、長きにわたる閉鎖が解除されるに至った。現在、モンサル・トレイルの
コースとしてフットパス愛好者、自転車乗りが通行している。
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数あるパブリック・フットパスのひとつ。時間が午前11時を過ぎていたせいか、地元の人にも出会わず、
ほかのハイカーにも遭遇せず、貸切フットパス・ウォーキング。
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パブリック・フットパスは公衆が歩く権利をもつ自然歩道。英国のいたるところにあり、市民のいこいの道となっている。
フットパスのほとんどは私有地で、所有者は自分の所有権より公衆の歩く権利を尊重しなければならない。英国はえらい。
英国全土に網の目のごとく連なるフットパスの総延長は地球4周分(英国政府試算 16万9千キロ)。
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一面に咲く黄色の花はセイヨウアブラナ。ナノハナではない。夏期はナノハナより遅く英国では5〜7月。種はナタネ油の原料。
日本でもナタネ油は江戸期まで行灯、提灯の燃料源だった。
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フットパスを歩いていて、最も多く出くわすのはだれあろうウシ。その次ぎにヒツジ、以下、ニンゲン、ウマ、ヤギ。
ウシが逃げることはほとんどなく、頻繁に逃亡するのはヒツジ、そしてニンゲン。そのために石垣、生垣は必須。
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カントリーサイドは田園と訳されることが多いようであるが、それは正しいとはいえず、生垣や石垣で仕切られた牧草地とか草地の意。
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英国には「歩く権利法」がある。「ウォーキング大国 イギリス」によれば、2000年にカントリーサイド・歩く権利法が確認される。
「フットパス保存協会」は19世紀に設立され、現行の歩く権利法は1932年に可決されたという。
また、上掲書によると、「農家が収穫のためにフットパスを利用しなければならないときは、収穫後2週間以内に元にもどさねば
ならない」のだ。日本の農家が知ればびっくり仰天するにちがいない。
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右側の幅広ゲートの開閉はできないが、左側のゲートは手動で開閉可。このようなゲートはフットパスには付きもの。自分で開けて自分で閉める。
平原が続き、遮るものもないので、歩いてきた道が見える
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とにかく歩く。それでもまだ3キロほどしか歩いていない。
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出発して2時間。行程約6.2キロはあっという間。立ち止まって撮影しなければ1時間半で歩けたでしょう。
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1999年6月中旬、コッツウォルズ「アッパースローターズ」のパブリック・フットパスを歩いたのが最初だった。
爾来、デヴォン州、サセックス、コーンウォール、湖水地方など数え上げればキリがないほど多くのフットパスを歩いてきた。
季節や天候などの外的要因でそれぞれ受けとめ方に違いはあるものの、どのフットパスも甲乙つけがたく、
再訪したらまた歩こうと思ったフットパスも多い。
車での外出が多く、日々の生活にウォーキングは欠かせない。それは結局、老いによる衰えを先延ばしにするための手段
として続けているだけで、英国のフットパスを歩くのとはテンションが異なる。
歩くことがある種のよろこびであるという明快な実感を得られるのがフットパスなのだ。足かけ18年に及んだウオーキング、
いつまで歩けるかわからないけれど、歩けなくなる日まで歩こうと思っています。
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